三溪園通信
昔の桜、今の桜
2023.03.06
桜は梅とともに三溪園の開園当初から親しまれている花である。
当時の新聞には梅が多く取り上げられたのに対して、桜の記事は見当たらない。反対に絵葉書に残されているのは桜が圧倒的に多い。
梅の楚々とした風情は文人墨客に愛され、豪華絢爛な桜の趣はモノクロだった当時の絵葉書でも十分視覚的に映えるものだったのだろう。
近年、三溪園には、創設者の原三溪の出身地である岐阜から同県ゆかりの桜が植えられた。
日本の三大桜の一つに数えられる国の天然記念物・淡墨桜(うすずみざくら)の2世、園内にある合掌造り・旧矢箆原家(やのはら)住宅と同じ村にあった荘川桜(しょうかわざくら)の2世、そして三溪の出身地・岐阜市柳津町に伝えられてきた柳津高桑星桜(やないづたかくわほしざくら)である。
いずれもソメイヨシノやヤマザクラとは開花時期がずれる。
この春は、今からでも間に合う遅咲きの柳津高桑星桜にも注目して観賞してみてはいかがだろうか。
正期~昭和初期ごろの絵葉書。左右の門柱は現在でも正門にそのまま残されている。
(210210広報よこはまなか区版寄稿)