三溪園通信
大正12年の原三溪 —良きも悪しきも:大師会茶会と関東大震災—(エピローグ)
2024.02.28
本当の豊かさとは何か?
-原三溪にみる生き方のセンス
本当に自分である必要があるのか?
依頼を引き受けた場合、真に全うできるのか?
関東大震災という大きな困難を前に、原 三溪が熟慮を重ねた上で心を決めたとき、横浜の市民、経済が再び前を向きました。
三溪園を大師会茶会の会場として提供し、茶の湯を通じた語らいを主客ともに楽しんだとき、
茶会という文化的営みが、茶会の創始者・益田鈍翁という個人の域を超え、みなで営んでいくものになりました。
実業、芸術、茶道に通じた三溪は、その「大茶人的性格」によってそれらが一体であると語ったのは、茶友であった松永耳庵。
本展ではこの見立てに倣い、本名の「富太郎」ではなく、あえて、茶人としての号「三溪」の呼称で統一しました。
現代に生きる私たちに、三溪の生き方はどのように映るでしょうか。
本展でご紹介した作品、言葉、そして、三溪園のいまの風景が、これから―を考えるヒントになれば幸いです。